そうではない。大西ユカリさん。ブラックミュージックを消化(昇華?)した「ネオ昭和歌謡」を歌う歌手。以前からウワサを聞いて気にはなっていたんで、NHK教育の「トップランナー」で特集されると聞いてさっそく見てみた。
うん、これは楽しい。パワフル、と聞いて想像していたものとはちょっと違う、非常に繊細な感じ。でもとにかく楽しい。
ドゥーワップからソウルなどの黒人音楽を経て、ゴスペルにたどりついた大西さん。35歳でゴスペルの精神に迫ろうとアメリカ・ニューオーリーンズを訪れて、現地の文化に衝撃を受け、「人の音楽に土足で足を踏み入れた」感じを持ったという。同じ頃、お母様から「(英語の歌詞が)何ゆうてるかわかれへん」と言われて、「Well,something wrong with my baby ? something wrong with me ?」という歌詞を、「オレの彼女になんか文句あんのんけ〜、あんのやったら、かかって来んかいわ〜れ〜」と歌ったら、「そないゆうてくれたら判かんねん」と言われ、わかりやすい音楽を目指した、という。
ああ、なんていい話だ。いろんな音楽の影響を受けて、消化して、身近な人を楽しませる音楽を作り出す。日本なら、それは歌謡曲になるはずだ。いろいろな要素を消化しきるからこそ生まれる、ユニークで、オリジナリティにあふれていて、日本人に、そしてアジア全域で親しまれる文化。
歌謡曲については、またあらためて書いてみたい。とにかく大西ユカリさん、応援しますよ。