先週「王様のブランチ」で紹介されていた、
「スキージャンプ・ペア オフィシャルDVD」。一組のスキーを前後二人で装着して、ジャンプ台からジャンプ、空中で独創的な飛行姿勢をとり、距離よりも主に「飛型」の美しさを競う、という競技だ。実在しない、というか、「あり得ない」競技。これを全編コンピュータグラフィックで作り出したアニメ作品。
もう、心底バカ(誉め言葉)。こうゆう愉快なバカ作品は応援しないと。で、買っちゃいましたよ。最初、「公式ガイドブック」付きのを買おうと思ったら、軒並み完売。みんなおもしろいものに飢えているんだね。それでまぁ、DVDだけを買うことにした。
メインは、2006年トリノ・オリンピッ
グ(オリンピックではない)での9組のジャンプ映像。イタリア北部・アルプスのふもとトリノ....非常にリアルな風景....でもこれは、長野オリンピックで使われた白馬村のジャンプ台に見えるぞ。この山々も日本の北アルプスだろう。こうゆうところがナニゲにバカで大変よろしい。
フィンランドのカウリスマキ兄弟の「トーテム」(前の選手を後ろの選手がひざの上で支え、組体操でおなじみのポーズをとるワザ)とか、ドイツの皇帝・ヴィドヘルツル組の「イーグル」(前の選手が、鷲に捕まえられた獲物のように、ゼッケンをつかまれてダラリとぶら下がるワザ)とか、イギリスのクエイ兄弟の「プリンセス」(「お姫様だっこ」をするわざ)とか。最後は日本の原田−大石組が、原田選手の甥っ子をはさんで通常の3倍の広さのV字をつくる「スーパーW」という大技で優勝する。原田選手は、最初お兄さんとペアを組んでいたが、既にお兄さんは死亡しているという。甥っ子ってことは、その亡くなったお兄さんの子供、という設定だろうか。ああ、もう、この芸の細かい設定がたまらない。
ノルウェーのクリスチャン・インゲブリッテセン組の「ジーザス」は特に好きなジャンプだ。前の選手がスキーの前方に両手を広げてとりつき、十字架に磔になったようにぶらさがる。後ろの選手は手を組み合わせて「祈り」のポーズをとる。着地する瞬間、実況が「アーメン」と叫ぶ。解説者もナニゲにアーメンとつぶやいている。インゲブリッテセン選手は、「4年前の大事故から奇跡の復活をとげた」そうだ。
実況も解説も非常に感じがでていて、大マジメなんだけど微妙に狂ったことを言っていておかしい。聞くたびに新しい発見がある。
その他、「2007年のエキシビションジャンプ」と「2007年新技飛行テスト」も収録されているけど、ちょっと悪乗りしすぎって感じで、やはりトリノ・オリンピッグの映像が一番おもしろかった。
特典映像として、「ペアジャンプと世界のハト」というのが収録されている。このアニメを世界各国の映画祭に出品するという名目で、各地のハトをリサーチする、という論理のすり替えが楽しいコーナー。実際はやはり、各映画祭での観客のウケ具合をホームビデオで撮影した部分が圧巻。特に、チェコとフランスでは熱狂的に歓迎されていたようだ。
なんか、コンピュータグラフィックの正しい使い方を教えてもらった気がする。現在のCM、特に化粧品や車関係は大抵コンピュータグラフィックが使われているけど、「こんなシワひとつない肌やぷるるんっと潤っている唇、ウソだろう」とか、「詐欺」としか思えないようなものが多い。「スキージャンプ・ペア オフィシャルDVD」は適当にリアル、適当にいい加減で、最初からウソだとわかっているから安心して楽しめる。
オフィシャルサイトはこちら。ジャンプの静止画や歴史など細かい設定を見ることができます。
posted by Honeywar at 18:50| ☀|
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