
『八重の桜』を視始めて以来、『綾野剛研究家』になっている妻。しかしこの映画に関しては、「すっごい気持ち悪そう…」としり込みしていた。それで、「じゃ、僕が替わりに観にいってあげようか?」と言ったら、大笑いされ…一緒に観にいくべく、前売り券を買った。
週末は家で二人グッタリしていたため、急遽、月曜日に無理やり仕事を切り上げ、観にいくことに。(だって、そうそう大ヒットするたぐいの映画ではないし、いつ打ち切られるかわからないからね。前売り券を無駄にはしないさ!)
『シャニダールの花』。選ばれた女性の胸にだけ咲く、画期的な新薬の材料になるという、不思議な花。シャニダール研究所には1億円の報酬と引き換えに母体を提供する美しい女性たちが集められ、セラピストたちとともに安静に過ごしている。
女性たちが選ばれる基準ははっきり示されないけれど、どうも、元々精神的に不安定な人物が多いらしい。花が成長するにつれ、彼女たちは、表面的な理由はさまざまあれど、みな「花を守る」ことに執着を示すようになっていく。(逆に、花が根付かなかった女性は、他人の花にまで憎悪を燃やす。)
やがて、不幸な過去を持つ一人の女性セラピストの胸にも、いつのまにか花が芽生え始めている。この花が危険な寄生植物であることに気づき始めた、セラピストの同僚の植物学者は、彼女の胸の芽を刈り取るのだが…。
…実のところあまり期待はしていなかったのだけれど、意外におもしろかった。映像は美しいし、役者さんたちはそれぞれ役にはまっているし、作品世界が統一されていてお見事。後半、ちょっと説明的過ぎるかな、という部分もあるけれど、全体的には「寓話」として、観ているこちらがいろいろ想像を働かせる余地があって楽しめた。
恐れていたほど気持ち悪くもなかったこともあり、観終えた後、威勢がよくなった妻は「女性が誰でも命をはぐくめるなんて思うなよ〜。あたしの胸には花なんか咲かないぞ〜。」などと息巻いていたが、やはり結構楽しんだようだ。