2007年02月19日

映画「墨攻」

Bokkou
 酒見賢一さんの小説「墨攻」は、小数の登場人物による密室劇に近い緊迫した雰囲気の物語。虚無的なエンディングに向けて一気に突っ走る、おもしろい作品だった。漫画は未読だが、アンディ・ラウさん主演で映像化。どうなるんだろう。ワクワクして観に行った。
 秦により統一される前・戦国時代の中国。趙国・燕国の戦乱に巻き込まれそうな小国・梁に、たった一人の援軍として到着したのは、防衛戦の技術に長けた教団・墨家から派遣された革離。降伏しようとする王・梁渓を説得して、軍の指揮権を得た革離は、趙国の将軍・巷淹中が率いる10万の軍勢を相手に籠城戦を展開。しかし勝機が見え始めると、梁渓は、民心を掌握している革離を危険視し始める....

 原作では18,000人ほどの趙軍が10万にパワーアップ。コンピューターグラフィックも適度に盛り込み、映画ならではのスペクタクルな戦闘シーンを盛り上げる。戦闘を前に、革離と巷将軍が、将棋のような机上のゲームで戦術合戦するというのも、ありえないけれどおもしろい。酒びたりの父王・梁渓を冷ややかに見つめる若君・梁適が、精力的・献身的な革離に心酔していくという展開も、原作よりむしろ自然だ。

 ただ、ラブロマンスは、うーん、どうだろう(^^;。原作では、革離自身が定めた軍規により、ラブロマンスは禁止。それが結末への重要な布石となる。もちろん、別に原作に忠実じゃなくてもいいが、近衛兵であるはずの逸悦が、中盤以降、ヨロイを脱ぎっぱなしで、ただ革離を迷わせるだけというのは、ないんじゃないか。

 一番のツッコミどころは、終盤、革離がいない梁城に攻め入る趙国の戦術。これは、やりすぎだろう(^^;。こんな技術があるのなら最初から使えば、梁城攻略も簡単だったろうに。

 まぁ、ツッコミどころはいろいろあったけれど、それなりに楽しめました。ほどよく年齢を重ね、渋みをつけたアンディ・ラウさんの革離のかっこよさ。昔の台湾アイドル、ニッキー・ウー(呉奇隆)さんが、弓の名手・子団で存在感。巷将軍のアン・ソンギさん、シブい! 酒びたりの梁王・梁渓のワン・チーウェンさんもすっげーいい味....と思ったら、うそ、アンディ・ラウさんより5つも年下!? 若君・梁適のチェ・シウォンさんもすばらしい存在感でした。

 最後に一応、「墨攻」という言葉について。

 従来あるのは、「ひたすら守る」意味の「墨守」。防衛戦の技術に長けた教団・墨家の戦術から来た言葉らしいけど、革離に代表される彼らの危険なカリスマ性を「攻」の字で表したのが、酒見賢一さんの造語「墨攻」。なんでも、漫画の中国語タイトルは「墨子攻略」なのに、映画では全面的に「墨攻」なんですと。この造語に対する敬意の表れかもしれない。
posted by Honeywar at 01:13| ☔| Comment(2) | TrackBack(1) | 映像作品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
トラックバック有難うございました。

「蒼き狼 地果て海尽きるまで」の評判が悪い一方で(笑)、この作品の評価は概して良いみたいですね。自分は正直それ程期待もせずに観に行ったのですが、妙に勧善懲悪調では無く、戦争の虚しさをジワリと心に沁みる描き方がされており、予想外に良かったという思いです。

アンディ・ラウ氏も格好良かったですが、ウー・チーロン(ニッキー・ウー)氏の目が奇麗で、同性ながらクラクラ来ました(笑)。
Posted by giants-55 at 2007年03月11日 15:18
giants-55様

 コメントありがとうございます! 遅レス、大変失礼いたしました。m(_ _)m
 いろいろ文句も書きましたが、全体的には、結構おもしろい映画で、楽しめました。

> ウー・チーロン(ニッキー・ウー)氏の目が奇麗で、同性ながらクラクラ来ました(笑)。

 そう来ましたか(笑
 彼は、元・台湾のアイドル。新婚旅行の際、妻がシンガポールのテレビで見かけて惚れこみ、CDも買っていた思い出があります。
Posted by Honeywar at 2007年03月18日 00:32
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「墨攻」
Excerpt: 中国では紀元前403年に晋が韓・魏・趙の三国に分裂して以降、紀元前221年に秦の始皇帝が国土統一を果たす迄の183年間を戦国時代と称されている。そんな戦国時代の世に、思想家の墨子が率いた集団が在った。..
Weblog: ば○こう○ちの納得いかないコーナー
Tracked: 2007-03-11 01:53
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