2009年08月01日

合唱組曲「海の詩」

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 先日、同僚の送別会が丸の内であった。時間があったので、途中に立ち寄った銀座・山野楽器で、懐かしい曲のCDを見つけた。

 広瀬量平さん作曲の合唱組曲「海の詩」だ。

 高校のとき合唱をやっていて、この組曲全曲を歌ったことがある。僕の声は中声(バリトン)なので、バスも担当したことがあるが、この曲のときは高声(テナー)を担当した思い出がある。

 「海」にまつわる5曲構成。作曲は1975年らしい。後の「ニューミュージック」を思わせるポップなメロディーや「メジャー7」系の和声を多用した美しい楽曲もあれば、ドビュッシー風の5度・4度の和声、さらに現代音楽の手法なども取り入れられている。高校時代歌った曲のなかで、この組曲が一番好きだった。

 CDで改めて聴いてみたが、うん、今聴いても、いい!

 作詞の岩間芳樹さん、当時放送されていた「3年B組貫八先生」(故・川谷拓三さん主演)の脚本家と同姓同名。CDのライナーノーツによると、本来は作詞家ではなくて劇作家、ということだから、おそらく同一人物だと思う。

 環境汚染、過疎、閉塞した時代の空気....にがい歌詞に美しいメロディーと和声が絶妙にマッチした第一曲「海はなかった」と第四曲「海の匂い」。特に「海はなかった」は主旋律にからむ他パートの対位法も絶妙だ。

「海はなかった」


 第二曲「内なる怪魚(シーラカンス)」は現代音楽の手法が取り入れられている。グラフィックなイメージで記載された譜面を見ながら「S」音や笑い声などを上げるのが楽しかった(この曲は、聴くよりも演奏するほうが楽しいです)。中盤のピアノ伴奏は不協和音を奏でる「トーン・クラスター」の現代音楽奏法。停滞した深海から、めまぐるしく発展しては滅びていく文明を笑い飛ばす怪魚!

 ニコニコ動画で聴取できます

 第三曲「海の子守歌」は、歌詞がなく、母音のスキャットで歌う。ライナーノーツによると、「母音−母−子守歌」という連想らしい。ドビュッシー風の5度・4度和声が取り入れられ、心地よい。

 「海」という漢字の中には「母」がいる。フランス語では母mèreの中に海merがある、といいますね。

 そして第五曲「航海」。中国大陸の文明人が、未開国・邪馬台国を解放に向かう、という内容。中盤には、各パートのソロが「魏志倭人伝」の要約を歌う。雄大な大海原が目に浮かぶような、これも傑作。

 ちなみに妻は、高校のとき、夜自宅で教科書を読んでいたら、「魏志倭人伝」の記述が気持ち悪くて怖くなってしまい、勉強を中断して寝てしまったらしい(笑)

 さて、実はCDのタイトルは、同じ広瀬量平さん作曲の合唱組曲・「海鳥の詩」の方。曲としてはこちらのほうが有名なんだろう。
 北海道の詩人・更科源蔵さんが書いた、厳しい自然の中に生きる海鳥をモチーフにした詩4編に作曲されている。こちらは今回初めて聴いた。

 特に第二曲、「濃い霧をものともせず、まっしぐらに飛ぶことのできる不思議な鳥」を題材にした「エトピリカ」は、サビのメロディーがキャッチーでよいですね。

「エトピリカ」


 ただ、あくまで個人的な感想だが、短いフレーズを積み重ねる更科源蔵さんの詩は大変印象的で、詩として完成されているので、曲がつく必要はないのでは、と思った。

 作品としては、「海の詩」のほうが、やはりおもしろいと思う。

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日本合唱曲全集「海鳥の詩・広瀬量平作品集」

posted by Honeywar at 19:35| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 名曲選 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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